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噛むことを意識づけできる「かみかみセンサー」で
すこやかな体と心を育む食習慣づくり。

 食べる時の咀嚼回数をチェックし、噛むことへの意識を高めてくれる「かみかみセンサー」。
 かみかみセンサーは、安富先生が小学校の養護教諭時代に子供たちと給食を共にした際に咀嚼力に問題を持つ子供たちを目の当たりにし、その改善策として安富先生が発案されたものです。では、実際にどのような効果がもたらされ、現在どんな活動が展開されているのか。安富先生に語っていただきました。
意識づけの高さに手応えを感じた実調査。
  噛むことで肥満予防の効果にも。

「かみかみセンサー」のネーミングのセンは、1 食の咀嚼回数の目標1,000(セン)回にも掛かっているんですよ。「かみかみセンサー」は30 回噛むと電子音が鳴り、1,000 回噛むと音楽が流れる装置です。
突然ですが、現代の日本人の1 回の食事時間と咀嚼回数をご存じですか?恐らく無意識に食事をされていると思いますが、文献によると、620 回/ 11 分(柳沢幸江著「育てよう噛む力」少年写真新聞社)だそうです。
さて、平成20 年に商品化されたかみかみセンサーの効果を測定するために、当時の勤務先の喬木第二小学校をはじめ、近隣の小・中学校や保育園にもご協力いただきながら調査を進めてきました。
 その結果、学校や給食センターが違っても、装置を付けると咀嚼の意識が高くなり、目標の1,000 回以上噛んでいることがわかりました。装着時の咀嚼回数・時間、そして「よく噛むとご飯やパンが甘く感じる」「いつもより給食がおいしい」など、子供達の感想も試作時と同じであると認識できました。
 噛むことへの意識づけは、通常は先生たちが呼びかけますが、装置を付けるだけで自然と意識し、隣の子供と競争したり、音楽が流れるのを目標にゲーム感覚で楽しく測定する姿を見て、いい方法だったことを改めて実感しました。他にも、給食を早く食べて遊びに行く子がいなくなったり、給食の開始時間の厳守や食事時間を延長するなど先生方の給食に対する意識改革、残飯の減少など、様々な面で成果が得られました。
 ここで、具体的な事例としてA 君のことをご紹介します。小学4 年生のA 君は身長132cm 体重65kg の高度肥満児で、家ではご飯三杯をかき込む早食いの子でした。夕食時に「かみかみセンサー」をつけて咀嚼回数と時間の測定を継続したところ、1 週間後には、「ご飯一杯でもよく噛むからお腹がすきにくい」と言い、食べる量や体重が徐々に減り、さらには体を動かすことにも積極的になりました。肥満の子は早食いの傾向が多いですが、よく噛むことで満腹を感じ、食べ過ぎを防止できたのでしょう。
 このことから噛むことと肥満は関係があるものと考え、今後の肥満指導に役立てられる様、A 君やご家族との連絡を継続し、指導・研究をさらに進めています。

実調査から見えてきた問題点
咀嚼回数以外に新たな発見もありました。それは、食べ方や食べる姿勢が悪いと装置がカウントしないことでした。食べ方の問題点は、一口の量が極端に少ない、牛のように横噛みをする、前歯で小さく噛む。さらに肥満の子は一口の量が多い、鼻呼吸できない子はうまく噛めず、食べるのに時間がかかる。姿勢の問題点は、体が机やイスと平行でない、背もたれに寄りかかりすぎて背骨が真っ直ぐでない、イスから足が横に出ている、肘をついて食べる、片方の手を机の下に入れて食べる、 足の裏が床についていない、机とお腹がくっつきすぎ等がわかりました。これらを改善するため、給食の中で個人指導を行い、その結果、正しい姿勢でよく噛んで食べられるようになったり、保護者の方に家庭での指導をお願いし、食べ方の問題点が解消できました。
こうした事から、学校と家庭が連携して指導をする大切さを痛感しました。食べ方は、子ども達の体の成長に関わる大事な問題です。
食育の中の大切な指導内容ですので、学校医や学校歯科医とも相談しながら指導を進めていくことも必要と考えます。
世界初!「かみかみリレー」のスタート
 平成25 年6 月、長崎県南島原市立口之津小学校にかみかみ講演会にまねかれたのをご縁に「かみかみリレー」がスタートしました。
 私の方からかみかみセンサーを10 台と「かみかみたすき」と「メッセージテープ」を提供し、学校全体でよく噛む活動に取り組んでもらい、その後テープにメッセージを書き、次の学校に渡すというものです。メッセージテープは43 校分あり、最終的に私のもとに戻る仕組みです。どんなルートで、いつ戻るのか楽しみです。現在は南島原市の小中学校を6 校廻ったようです。戻って来たテープは新しい物を学校へ送り返し、他の学校へリレーする予定です。
 島原市内でよく噛むことの輪を広げようと始まったリレーですが、私の地元(長野県)でも、約半年後に下伊那郡阿智第一小学校で始まりました。約1 ヶ月の活動でしたが、養護教諭が中心となり、校長先生をはじめ先生方、子ども達、保護者が一体となったすばらしい活動でした。活動の感想や気づきなど子供達が思い思いに書いたたすきを見た時は嬉しかったですね。この活動では子供達の噛む意識を一時的に高められますが、習慣化させるのはなかなか難しいです。
 意識の継続のためにも、学校でかみかみセンサーを数台導入し、定期的に使用できる環境づくりが理想と考えています。また、このリレーは、学校だけでなく、保育園や会社、施設等でも行ってもらい『かみかみ健康法』として広めていけたらと思っています。
世界からも届いた噛むことへの声
「かみかみセンサー」の開発、「かみかみリレー」の活動は、地元の新聞やNHK ラジオで取り上げられ、ラジオ番組は17 カ国語に訳されて全世界に発信されました。そうしたところ、いろいろな国から反響をいただきました。
 例えば、タイから。「タイでは軟らかい食べ物がおいしいとされているので、わざわざ固いものを食べるのはちょっと…という気もしたが、噛むことの効用を聞いて、気をつけようと思った。」という意見もありました。
 駒ヶ根の青年海外協力隊の訓練所に視察で訪れていたパプアニューギニアの視察団が見学に来たことも。話を聞くとパプアニューギニアは肥満の方が多く、肥満予防に噛むことをとり入れたいとのことでした。
 メタボリック症候群は世界的にも問題になっているので、その予防として注目している国が多いようです。ただ、国によって噛む回数やアゴの骨格などが異なるので、装置の改良の必要がありますが、いつか海外向けもできればとも思っています。
健康的な社会を目指したこれからの目標
「三つ子の魂百までも」と言いますが、小さい頃によく噛むことを習慣化すればずっと身につくでしょうし、将来に向けた健康な体づくりの基礎にもなり、ひいては生活習慣病の予防に繋がり、健康寿命の延伸と医療費の削減にもなると信じています。
 また噛むためには正しい姿勢、しっかりした歯が必要なので、姿勢のことや虫歯予防の話を交えながら、噛むことの大切さ、効用を伝えていきたいと思っています。
 よく噛むということはゆっくり食事をすることでもあるので、食を大事にする、食に感謝するという食育の観点もとり入れながら活動の輪をさらに広げていけたらと考えています。
 目標は、世の中の皆さんがよく噛んで食事を大事にしながら健康な生活を送っていただくこと。子供には体の基礎作りに、大人には健康作りとして啓発したいと思っています。
 それともう一つ、お年寄りの認知症予防として噛むことを啓発したいという課題も持っています。歳をとっていてもよく噛むことで脳に刺激を与え、脳の血流を活性化させることで記憶力を良くし、認知症の予防にも繋がるのではないかと考えます。

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